スライド&グリスでフレーズをうねらせろ!/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by 山本直哉 2012年12月16日

スライドやグリスは簡単でハデな効果が得られる反面、使いどころにはセンスが問われるものだ。さらに突き詰めて考えると、フレーズ自体のニュアンスを変えるのに役立ったりと、実は“深い”テクニックでもある。今回は、意外と知らないスライド&グリスの効能と、その活用法について勉強していこう。

“食欲の秋まっさかり”ということで、おいしいものに目がない私ですが……。今回のテーマは簡単かつ効果的で、同時にグルーヴ&フレーズのカッコよさを身につけられる、まさに“ひと粒で二度おいしい!? いや、それ以上に役に立つ!!”テクニックです。タイトルは“スライド&グリスでフレーズをうねらせろ!”という大げさなものですが、要はスライドとグリスを使って、“ブイ〜ン”という音を入れることで、ベース・ラインに色付けする方法を紹介していきます。いくつかの実践フレーズを例に挙げますので、ぜひチャレンジしてみてください。

Ex-1 まずはスライド&グリスの効能を体験!

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それではEx-1を見てください。G→Aというコード進行のシンプルな8ビート・パターンです。ここではまず①の運指で、あえてスライドもグリスも入れずに弾いてみましょう。これに慣れたら②のボジションで、今度はグリスを混ぜて弾いてみてください。この場合、1オクターヴ上のG音が①の2弦5フレットではなく3弦10フレットに、同様に1オクターヴ上のA音も2弦の7フレットではなく3弦の12フレットで弾くことになります。左手のボジション移動は大変になりますが、そのぶん動きの幅が広がり、このときに生まれるグリス音によって、よりフレーズにうねりが生まれるのです。ここでのポイントは、ポジション移動のときに“左手でしっかりと弦を押さえたまま”にするだけ。いや〜、簡単ですよね! さらに副産物として、オクターヴ上の音を2弦から3弦に変えたことで、音色だって太くなるというわけです。まさに“ひと粒で二度おいしいテクニック! ”と言えるでしょう。このようにシンプルなルート弾きのフレーズでも、ポジションをいろいろ工夫すれば、スライドやグリスでニュアンスをつけることができるんです。

Ex-2 コード・チェンジのタイミングを活用しよう!

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続いてはEx-2に進みます。こちらもシンプルな8ビートのルート弾きパターンですが、譜面をよく見ると、幸いなことに(!?)2拍ずつでコードが変わっていますね。ということは“ルートを追っていくだけで、自然とスライドができる! ”というわけです(まあ、何ごとも前向きに捉えるということで……笑)。この場合、あえて4弦のみを使う運指をチョイスすることで、よりスライドのニュアンスを強く押し出すことができます。ポイントとしては、移動する先のポジションをしっかりと把握して、あとはEx-1と同じように左手をしっかりと押さえるということだけ。このパターンでも、一度スライドしないポジションを選んで(2小節3拍目のC音は3弦3フレットなど)弾きくらべてみると、よりスライドの効果=うねり感の違いを体感できるのではないかと思います。スライドの加減を自分でもいろいろ試して、自分が出したいうねりに近いニュアンスを探ってみるのもおもしろいでしょう。

Ex-3 シンコペーション+ハイ・ポジションの場合

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続くEx-3は、8ビートのシンコペーションを使った例です。フレーズはEx-2よりもリフっぽい雰囲気になっていて、ここにスライドやグリスを入れることで、ベースで歌うようなニュアンスが出せるんです。特に4小節のハイ・ポジションに移動する部分は、スライドのうねり感を強調するようなフレーズになっており、それが同時にフレーズの流れをスムーズにする役割も担っています。演奏時の注意点はEx-2と同じですが、ここでは同一弦上を移動するスライドを多用していることもあって、案外さらっと弾けてしまうのではないかと思います。むしろ左手の動きだけに意識がいってしまい、右手のリズム・キープがおろそかにならないように気をつけましょう。なんと言っても、シンコペーションは右手のリズムが命ですからね!

Ex-4 オクターヴ・フレーズにもうねりをプラス!

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Ex-4は、ベースの定番のひとつでもあるオクターヴ・フレーズです。もともとはファンク(オジサン世代的にはディスコ・ミュージック?)でよく使われていたパターンですが、もちろん今でも、ドラムが“ドッチードッチー”と鳴っているような4つ打ちのトランス系ビートでは多用されています。この手のフレーズをうねらせる場合にもスライドやグリスが役に立つのですが、ポイントはルート音を移動するときにさりげなく混ぜること。これにより、フレーズがさらにはずむような印象になります。移動する音が全音=2フレットぶん以上離れていれば、すかさず入れてみるといいでしょう。あまりにやりすぎると逆に疾走感がなくなってしまいますが、ほどよい加減で使いこなすことができれば、グルーヴ感がアップすること間違いナシです!

Ex-5 スライド&グリスを“アレンジの一部”に!

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Ex-5は16ビート系のシンコペーションを使ったフレーズで、スライドを入れることによってループ感や疾走感を強調しています。ポイントはやはり、1〜3小節でオクターヴ上のG音に行くときに、3弦10フレットまでグリスで移動しているところです。ここでは迫力を出すためにも、3弦5フレットあたりから到達音の10フレットまで、しっかりスライドさせてください。そして4弦3フレットのG音に戻るときも、3弦10フレットからグリス・ダウンしてみましょう。実際に弾いてみると、スライドの“ブィ〜ン”といううねりがフレーズの一部になっていることがよくわかると思います。試しに、このG音を2弦5フレットにして、グリスなしで弾いてみると……とても淡白な印象になってしまいますよね。スライドってステキでしょ(笑)?

Ex-6 特殊な響きを強調+指使いを工夫してみる

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最後にEx-6を見てみましょう。こちらも16ビート系で、Am9→D9というオシャレなコード進行です。1小節2拍目ウラなどは9thの音(2弦9フレット)を取り入れることで、よりメロディアスになっていますが、実はその印象を強調するのにグリスがひと役買っているわけです。加えて弾くときのポジション選びもポイントで、2&4小節ではハイ・ポジションに移動していますが、このとき、あえて運指を人差指や小指に切り替えることで、続くフレーズをスムーズに弾けるようにしているんです。

さて、どうでしたか? まずは難しく考えずに、いつものフレーズにスライドやグリスを混ぜてみてください。それだけで印象が大きく変わるはずです。

ポイントも何も、左手の指を押さえたままポジションを移動する……それだけのテクニックですから!

山本直哉

131016-mi-bass-121218才のとき、大学の軽音楽部に入部したことをきっかけにギターからベースに転向する。影響を受けたベーシストはポール・マッカートニー、ウィル・リー、スティングなどで、歌えるプレイヤーに憧れる。23歳の頃にバンドで上京し、翌年からはプロ・ベーシストとしてさまざまなアーティストのサポートワークを開始、彼らからの信頼も厚い。現在はおもにJAM projectや茅原実里バンドのバンマスとして活躍中で、MI JAPANではオープンカウセリングという科目にて、ジャンルや形態にとらわれない自由なレクチャーを担当している。

本記事について

本記事は『ベース・マガジン2012年12月号』掲載のページを転載したものです。

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