アドリブで弾ける! ファンキー・ベース・ソロ入門/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by zunny 2012年11月16日

“曲中で颯爽とアドリブ・ソロをキメる”というのは、多くのベーシストが憧れる姿だろう。一聴するとハードルはかなり高そうだが、ここで紹介するアイディアさえ知っておけば、実は意外と簡単に弾けてしまうものなのだ。今回は、ファンキーなスラップ・ソロの組み立て方について学んでいこう。

みなさんはライヴでベース・ソロを弾くときに、困った経験はないですか? 例えば“フレーズにまとまりがない”“なんだか盛り上がりに欠ける”“すぐにネタに行き詰まる”などなど……。今回は、そんなプレイヤーに向けたアドリブ・ソロの考え方がテーマで、特に入門篇として、一発コードにおけるソロの組み立て方などのアイディアを紹介していきましょう。奏法もソロの花形と言えるスラップに絞り、コードは4弦開放のE音を使いやすいEm7、またはE7を想定しています。

これをもとに、2小節単位のフレーズをつなげてアドリブ・ソロを組み立ててみましょう。

STEP 1 フレーズの土台には共通のモチーフを使う!

それでは、2小節くくりの小さなパーツを4つ組み合わせて、8小節のソロを考えていきましょう(Ex-1)。ここではマイナー・ペンタトニック・スケールを使用しているので、下に載せた指板図も参考にしてください(図1)。まずフレーズの土台を考えるときには、それぞれの1小節目に共通のパターンを使うことによって、聴き手に統一感のあるリズムを感じさせることができます。考えるべきは2小節目のフレーズで、1回目はどんなフレーズでもかまいませんが、2回目と3回目に関しては、1回目と違ったアプローチをします。例えば1回目で8分のオクターヴ・フレーズを弾いたら、2回目は最初の2拍に16分音符を使い、3回目は8分休符から始まる、いわゆる頭抜きを使うといった具合です。

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図1:Eマイナー・ ペンタトニック・スケールのポジション

図1:Eマイナー・ ペンタトニック・スケールのポジション

しかし、ここで問題点がひとつ。このままではリズム・アプローチがマンネリ化してしまいます。これこそ初心者にありがちな“ソロがダラダラと長く感じられる”要因のひとつなのです。共通のパターンを使って統一感を出した反面で、パターンの組み立てが聴き手に読まれてしまうというわけです。この問題は、4回目の1小節目を変化させることで解決できます。つまり“3回も続いたフレーズだから、次も同じリズムでくるだろう”という聴き手の読みのウラをかくことで、飽きさせない8小節を作るのです。というわけで、最後は2小節目から始まっていたフレーズの変化を、1小節目の4拍目に食い込ませてみました。このあとソロをさらにつなげたいというときには、1小節目のフレーズに上記の2回目、3回目のアプローチを応用することによって、新しい展開に広げることができます。

STEP 2 “おいしい音”を効果的に取り入れよう!

短3度と短7度は、マイナー・ペンタにおける最も特徴的な音です。これらは通常のフレージングにも当然使われますが、特にソロともなれば、この“おいしい2音”を使わない手はありません。

ソロで最も耳につくのは弾きはじめと弾き終わりの音だというのは想像がつくと思いますが、そこにこれらの特徴的な音を使うことによって、印象が大きく変わってきます。Ex-2に実例を挙げましたが、注目してほしいのは各2小節目。Ex-2aはルート(E音)から始まり5度(B音)で終わるオーソドックスなパターンで、Ex-2bは短7度(D音)から始まり短3度(G音)で終わるパターンです。弾き比べてみると……どうでしょうか?

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これをさらに発展させて、短3度にチョーキング、短7度に半音下からのハンマリングを加えてアレンジしたのがEx-3です。この場合のチョーキングは半音のさらに半分だけ音程を上げるクォーター・チョーキングですが、これを加えることで少し不安定な感じが出て、より特徴的なフレーズになりますよね。音の長さやベンドの具合、揺らすタイミングを研究して、ぜひとも自分のものにしておきましょう。また、半音下からのハンマリングによるアプローチは短3度、短7度のどちらにも有効です(これはマイナー・ペンタトニックというよりもドリアン・スケールの範疇になりますが)。

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補足としてはEx-4のように、短3度と4度、4度と5度、短7度とルート(1度またはオクターヴ上の8度)のあいだの音は、いずれも上昇&下降の際の経過音として有効です。こういった音使いを基本パターンに混ぜていくと、ベース・ソロはさらに広がりますよね。

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STEP 3 困ったときは“必殺技に頼る”!?

何ともふざけたテーマだと思うかもしれませんが、大切なことです。例えばスタンリー・クラークの和音ストロークやヴィクター・ウッテンのロータリー奏法しかりで、これらは必ずしも必要なテクニックではないかもしれませんが、ソロで聴き手を驚かせるといった意味では非常に有効です。ロータリー奏法のような超絶プレイとまではいかなくても、ハデなテクニックを挟むことでソロに盛り上がりを作ることができますし、次の展開を考えるまでのつなぎとしても使えます。

ここでは、比較的簡単でハデに見える便利フレーズを紹介しましょう(Ex-5)。これはゴーストノート(譜面中の×印)を組み合わせた16分音符フレーズで、ゴーストの部分は左手で4弦を叩くようにヒットして鳴らします。符割的には16分が3つからなるリズムを休符なしでつなげることによって、アクセントが移動するため、フレーズにスピード感を与えることができます。これをもとに6連符や32分音符を使ったアレンジもしやすいので、研究してみてはどうでしょう? シンプルな手順のわりには、意外とウケるものです(笑)。

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最後に、僕が考えるスラップのソロというのは、基本的に“パーカッシブなもの”です。さまざまなリズムを組み合せることによって、フレーズに迫力やスピード感、緊張感を与えて聴き手を驚かせ、良い意味で裏切り、楽しませることができるので。

そのためには1小節のなかに存在する音符(6連符なども含めて)のあらゆるタイミングにアクセントがあるべきですし、それを操ることの効果を知っておくことも大切です。

例えば、毎小節で半拍分休んだあとにフレーズを弾き始めるとします。それだと、いくら素晴らしいメロディだとしても、毎回同じアプローチを続けていては、“また「ウン、タラララ~♪」っていうフレーズなんだろうな……”と、聴き手に先を読まれてしまいます。アタマを休んだら、次は休符を入れずに弾き始める。もしくは逆に1拍半くらい休んでから弾くなど、常に新鮮なアプローチでフレーズを弾くことを心がけましょう。

ズンニイ(藤本かつき)

131016-mi-bass-12111965年生まれ、福岡出身。14歳のときにルイス・ジョンソンにあこがれてベースを手にする。ほぼ独学で練習を重ね、在学中の21歳からライヴハウスのハウス・バンド・メンバーとして活躍。現在は姫野達也(チューリップ)のツアー・サポートをはじめ、さまざまなジャンルのミュージシャンのライヴ/レコーディング/プロデュースなどを手掛ける。自身の所属するバンド=Yo-RAは、肩の凝らないポップなジャズ・バンドとして人気上昇中だ。

本記事について

本記事は『ベース・マガジン2012年11月号』掲載のページを転載したものです。

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