コピーしたフレーズを発展させるには!?/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by 佐藤健二 2013年8月16日

プレイの持ちネタを増やすには、名手のフレーズをコピーすることが何よりの早道! しかし、それを“自分のフレーズ”として使いこなすためには、分析とアイディア、そしてコードの知識に基づく応用力が求められる。今回は、そのための手順を勉強していこう。

“気になるフレーズをコピーしたものの、そのフレーズがなかなか身につかない、実践で使うことができない”と悩んでいる人は多いと思います。その解決策として挙げられるのは、①すべてのポジションで弾けるようにする、②すべてのキーで弾けるようにする、③コピーしたフレーズの音使いを分析する、④アイディアを使って発展させる、ということ。これらの作業を行なうことで、コピーしたフレーズを自分なりにアレンジして使いこなせるようになります。今回は、そのための練習方法について考えていきましょう。

Chapter 1 予備知識:フレーズの発展方法とポジション分け

まずは代表的なシーケンスを例に、フレーズ発展の考え方を説明します。この場合のシーケンスとは、“ある規則性を持ったフレーズ”のことで、コピーしたフレーズはシーケンスに落とし込む作業をすることで応用性が高まります。Ex-1は限られた上昇パターンのみのワン・ポジションで弾けるフレーズですが、このままでは応用範囲が狭いまま。そこで下降パターンも加えて、指板上のすべてのポジションで弾けるようにしていきましょう。

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まずは音使いの分析ですが、譜例はKey=Cで、Cメジャー・スケールの7音(CDEFGAB)で構成されています。1拍目はCEG、2拍目はDFA、3拍目はEGB、4拍目はFACとなり、トライアド(3和音)のアルペジオが1音ずつ上昇していることがわかります。これをもとに、スケール内の7音それぞれから始まるトライアド(CEG、DFA、EGB……)のシーケンスにしたものがEx-2、同じ考え方で下降フレーズにしたのがEx-3です。

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このように作ったフレーズを図1のポジション(5フレット以内でメジャー・スケールが弾けるように区切ったもの)ごとに分けて弾けるようになることが、コピーしたフレーズを指板全域で弾くための基礎になります。

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Ex-4の1のポジション、Ex-5の2のポジションから始めて、指板上の広い範囲で弾けるようにしてください。

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Chapter 2 実践1:ペンタトニック・フレーズの場合

それでは実践です。課題のEx-6はジョン・メイヤーの『Where The Light Is – John Mayer Live in Los Angeles』(ソニー/ SICP-1930)に収録された楽曲で、ピノ・パラディーノによるフィルインを採譜しました。まずはどのような音形で作られているかがわかりやすいように、Key=Cに移調します(4弦開放より低い音は1オクターヴ上げています)。このフレーズはメジャー・ペンタトニックで作られているのでCメジャー・ペンタトニック(CDEGA)となり、1拍目はCDEC、2拍目はDCAG、3拍目はCGAA、4拍目はGEDCとなります。

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『グッド・ラヴ・イズ・オン・ザ・ウェイ』ジョン・メイヤー
Music by Steve Jordan / John Mayer / Pino Palladino

このフレーズを1音ずつずらしてシーケンスにしたのがEx-7で、そのまま利用するのもありですが、ひとつアイディアを加えて、1&2拍目(Ex-8)と3&4拍目(Ex-9)に分けてシーケンスを作ってみました。

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これは大きいセンテンスをまとめて覚えるよりも、ある程度細かくすることでアレンジを容易にして、ほかのフレーズと組み合わせやすくするため。分割したフレーズをポジションごとに弾いたのがEx-10ですが、前述の全ポジションで練習することにより、曲の流れのなかでも自然なポジション選択が可能になります。

Chapter3 実践2:ベース・ライン調フレーズの場合

次のEx-11はジェームス・ジェマーソンの動感ある演奏が印象的な、ジャクソン5の「ダーリング・ディア」(『アイル・ビー・ゼア/さよならは言わないで+2』収録:ユニバーサル/ UICY-15083)からピックアップ。こういう流れのあるベース・ライン調のパターンでは、コード・トーンに対してどのような音使いなのかを分析してみましょう。

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譜例中の導音(リーディング・トーン)とは、半音の上行&下行で安定感を導くための音で、ここではコードGm7のルートにつながる3拍目のF#になります。この次の小節はDm7コードで、4拍目のA音も音程差はあれど近い役割ですね。続いてはこの音使いをコード進行に当てはめていきますが、今回はメジャー・スケール上に作られるダイアトニック・コードの4度進行で考えてみます(Ex-12)。ダイアトニック・コードとは、そのスケール内の音だけを3度ずつ積み重ねてできるコードのことで、Cメジャー・スケール上ではC△7、Dm7、Em7、F△7、G7、Am7、Bm7(♭5)の7つになります。これを多くの曲で使われる4度進行に当てはめて練習することで、元フレーズの応用性が高まるのです。

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そのほかの方法としては、元ネタを発展させる際に①リズム&音使いに共通点を持たせる、②リズムだけに共通点を持たせる、③音使いだけに共通点を持たせる、などのパターンもあります。ぜひ、この観点でも試してみてください。

コピーしたフレーズを発展させるためには、着目点を変えると、また違ったやり方が出てきます。例え同じフレーズをコピーしても、弾き手によって発展させたいと思うポイントは異なるでしょうし、アレンジを繰り返すなかでも、さまざまなバリエーションが生まれてきます。それにあたっては、どのコード上でどの音を弾いているのかを理解しておく必要があるので、各コードの構成音を把握する練習もあわせてしておくと、今回のレッスンがより生きてくるはず。好きなフレーズを吸収して、自然と出せるようにする作業はとても楽しいものですからね。

佐藤健二

131016-mi-bass-130817歳でエレキ・ベースを始め、パット・メセニーや矢野顕子、サンバランソ・トリオなどに影響を受ける。甲陽音楽学院在学中にコントラバスを上山崎初美に、その後ベースと音楽全般を瀬川信二、子安フミ、石ヶ森宗悦に師事し、現在はセッション&サポートを中心に活動中。MI JAPANでは読譜を学ぶリーディング、スケールやコード・トーンなどの指板上での見方と考え方を養うフレット・ボード、演奏技術を扱うプレイング・テクニックの教科を担当している。このセミナーには、2011年8月号以来3度目の登場となる。

本記事について

本記事は『ベース・マガジン2013年8月号』掲載のページを転載したものです。

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