第10回 フレットレスとフレッテッド

出張版 ベーシスト究極の選択 by テキスト:板谷直樹 イラスト:田渕正敏 2013年7月12日

130614-kyukyoku-10

“出張版 ベーシスト 究極の選択”も、いよいよ最終回。フレットありとフレット無し、それぞれの特徴を深堀りしていきます。“究極の選択”の続きは、ぜひ書籍版でチェックしてみてください。

ウッドベースと同様に指板にフレットが無いエレキベースが存在し、これをフレットレスベースと呼びます。今回はこのやや特殊なフレットレスベースと、通常のフレット付きのベース(フレッテッド)ではどのような違いや特徴があるかを取り上げてみましょう。

フレットレスベースの特徴

フレットレスベースはアタック音が丸く、やわらかい独特の音色を持ち、フレットが無いので音程が自由に取れること、またスライドやビブラートといった奏法が表現しやすく表情が豊かになること、などが特徴になっています。反面、音の立ち上がりがやや遅いので、タイトさを求める音楽には向かないかもしれませんし、ピック弾きやスラップ奏法の特色が最大限活かせるような楽器とは言えません。また押弦した場所がそのまま音程に反映されるので、正確な音程をとるための訓練も必要になってきます。実際の演奏上のテクニックに併せて、耳の良さも必要とされてくるのです。
やや難しい楽器ですが唯一無二のサウンドの支配力は大きく、曲の表情を根本から変える力を持っていると言えます。
フレットレスベースを世に知らしめた一人としてはジャコ・パストリアスの存在がありますね。ベースをソロ楽器の領域まで押し上げた人物として、今でも多くのベースプレイヤーに影響を与え続けています。

フレッテッドベースの特徴

一方のフレッテッドベースは、皆さんもよくご存じのように指板にフレットが打ち込まれた通常のベースのことを指します。チューニングとオクターブピッチが合っていて、任意のフレットを押さえれば、正確にその音程が出せるので、フレットレスのように音を自分で探して合わせる必要はありません。音の立ち上がりが速く、アタックがはっきり出るのが特徴で、ピック弾きやスラップ奏法にも向いていると言えますね。その反面、フレットレスのような音が繋がる感じは出しにくかったり、ビブラートなどの細かいニュアンスも付けづらい、という傾向があります。
またネックの反りは不要なフレットノイズの原因になってしまいますから、年間を通じて一定の状態を保って管理してあげることもポイントでしょう。同様にフレットの減りが激しい場合もリペアに出すなどのメインテナンスが必要ですね。

興味がある人はフレッテッドのベースをフレットレスに改造することもできます。抜いたフレットの溝に木材を埋め込んだり、場合によっては指板をエポキシ樹脂でコーティングするようなこともあるので、自分でフレットを抜くようなことはせず、リペアのプロに頼むのが妥当ですね。

 

 

 

板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



Amazon.co.jpから購入定期購読(特典つき)

バックナンバー

TUNECORE JAPAN

@bassmagazinejp からのツイート