第9回 動きを分解する方法と一点に集中する方法

出張版 ベーシスト究極の選択 by テキスト:板谷直樹 イラスト:田渕正敏 2013年7月6日

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動きの分解と一点集中とは、練習時に気にするべきことです。それぞれの特徴を活かして、日々のエクササイズを実りあるものにしてください。

やみくもに練習しているだけでは上達しない。この事実は楽器を始めて何年も経っている人ほど、よく理解していることでしょう。では具体的に何をすれば良いのか? 今回は動きを分解する方法と、一点に集中する方法の2つを取り上げて考えてみることにします。

動きを分解する方法とは?

動きを分解する方法の中で、例えば肉体的な部分に関することを挙げれば、部分部分の関節の動きや筋肉の動きまで立ち返って確認してみる方法があります。1つの例を挙げると、右手のピッキングにおいて、どこの関節がどれだけ動いているか、そして無駄な動きがないかどうか、より疲れない効率的な方法はないかなどをよく観察してみる、というテクニックですね。
もしも余計な負担を感じている箇所があれば、そのフォームには改善の余地があるはずなのです。
ゲイリー・ウィリスは右手のピッキングにおいて一風変わったスタイルを持つベーシストですが、教則ビデオの中で自分のピッキングがなぜそうなっているのか? どうしてそれが良いか? を関節と筋肉の動きを絡めて説明していきます。その解説は“動きを分解する方法”としてとても興味深いものだったと記憶しています。

一点に集中する方法とは?

もう1つの一点に集中する方法もいろいろな練習に応用できるので、やってみると良いでしょう。
例えば通常ベースは右手と左手を使って演奏するわけですが、左手の運指だけに特化して練習する方法や、逆に右手のピッキングだけにスポットを当てる、という方法がありますね。また、数小節あるベースラインにおいて1小節目のみを練習し、そこが完成するまで次へ進まないなど、普段弾いているものをできるだけ細かく、ミクロ的な視点で練習していく、という方法があります。これらは言ってみれば、動きを分解していく方法と同質のものと考えても良いかもしれません。
また耳の使い方、音の聴き方にもこのようなテクニックが使えるように思います。人間の耳はドラムのハイハットだけ、スネアだけ、またはバスドラムだけというように、意識を集中すればその音がよく聴こえてくるように、ベースの演奏中どこに注意して聴くか? によっても演奏のクオリティは変わってくるものです。この辺りにも“一点に集中する方法”をぜひ応用してみてください。

あとは分解して練習したものや、一点に集中したものをそれぞれをまとめて音楽の形にする作業になりますが、漠然と練習していた時に比べ精度が確実に上がっているに違いありません。

 

 

板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



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