第8回 エレクトリックアップライトベースかウッドベースか

出張版 ベーシスト究極の選択 by テキスト:板谷直樹 イラスト:田渕正敏 2013年7月1日

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エレクトリックアップライトベースとウッドベース、あなたならどちらを使います? 今回も板谷直樹さんがそれぞれの特徴を詳細に解説しているので、選択の参考にしてください。

大きなボディを持つウッドベースは、運搬に手間がかかること、またアコースティックの楽器なので音を消すことが実質できないという特徴が挙げられます。これらのことを解消するために、ボディをサイレント構造にしたアップライトベースが誕生し、ライブでこれを使って演奏する人も増えているようです。今回はエレクトリックアップライトベースとウッドベースを比較して、それぞれの特徴を考えてみたいと思います。

エレクトリックアップライトベースを選ぶ理由

エレクトリックアップライトベースの利点の1つに、その可搬性が挙げられます。エンドピンを抜き、ボディレストを外せばエレキベースよりは若干長めとは言え、肩から下げて運ぶことができ、電車での移動も楽なサイズと言えます。またエレキベースと同じように、音を出すにはアンプが必要ですが、逆にウッドベースのように騒音問題を気にする必要が無く、練習場所や時間帯を選ばないということも大きいですね。
もしもウッドベースの代替として考えるならば、できるだけ同じような演奏性のものを選ぶと良いでしょう。具体的にはネックの握った感じ、ネックの角度、指板のRの付き方、弦長などでしょう。そしてハイポジションに行ったときに、親指が止まるポジションで人差し指がDかE♭の位置に来るような作り方、構造をしたものが持ち替えたときの違和感が無いと思います。

ウッドベースを選ぶ理由

一方のウッドベースは、独特の包み込むような深い音色を持っていることが特徴です。体の横でボディが響いて鳴る感覚はアコースティック楽器でなければ体験のできないことですし、ライブにおける見た目のインパクトも大きく、その存在感を必要としてくるアーティストや共演者も多いです。
一番問題となるのは練習場所の確保でしょう。生音が大きいので防音設備の無い部屋で弾くことは避けた方が良いですし、仮に防音がされてない部屋で弾けても時間帯などが制限されてしまうことがあるかもしれません。もう1つは運搬方法で、ラッシュ時の電車にウッドベースを抱えて乗るのは気が引けますし、車での移動を考えるのが無難でしょう。車を所有していなければレンタカーの利用、併せて駐車場代のことも考えなくてはいけません。

ところで、アンペグ社製のベビーベースをご存じでしょうか? 60~70年代に作られたエレクトリックアップライトベースで、FRP製のボディ、コンプ感がありサステインの短い独特の音色などが特徴になっています。当時のキューバ音楽のサルサはこの楽器でよく録音されたことから、現代でも「サルサを演るならこれ」という代名詞的な存在のベースになっています。エレクトリックアップライトベースの歴史はまだ浅いので、これからもいろいろな可能性がありそうですね。

 

板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



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