第7回 五弦か六弦か

出張版 ベーシスト究極の選択 by テキスト:板谷直樹 イラスト:田渕正敏 2013年6月21日

130530_bass_web_07_fin

多弦ベースは五弦か六弦の選択肢がありますが、大は小を兼ねると言えるのでしょうか? それぞれの特徴を考えてみたいと思います。

ベースの世界においてすっかり定着した感のある五弦ベースや六弦ベースですが、それらの魅力は四弦ベースには無い音域が出せる点にあります。今回は多弦ベースをチョイスするにあたり、どのような点に注意しておくと良いか、ここで比較して考えてみることにしましょう。

五弦ベースの特徴

五弦ベースには二通りの使い方があると言えます。まずは通常の四本の弦に加えて、E弦より下のLow-B弦を張って低音を拡張させいく方法ですね。ベースラインをより低音へ持っていくアプローチは、ジャンルやスタイルを問わず可能なことですし、曲の中でE音より下が出るだけで、アンサンブルの聴こえ方はガラリと変わってくるものです。
そしてもう1つは、通常の四本の弦に加えて、G弦より高いHi-C弦を張って高音を拡張させていく、という方法です。こちらの選択はベースソロやメロディ弾きにおいてより高音が使えたり、コード奏法で奇麗な和音を響かせるのに向いている、と言えるでしょう。
このように五弦ベースは、弦の組み合わせによって楽器の使用方法や演奏アプローチを変化させることができるのが利点と言えます。

六弦ベースの特徴

一方の六弦ベースは、前述の両方の弦、すなわちLow-B弦とHi-C弦を最初から備えていて、低音側にも行けるし、高音側にも広がっている優れたベースと言えます。しかし弦が多い分、ペグやブリッジなどの部品点数も増え、それだけ重量が重くなること、ネックの幅が広くなるため運指や押弦に影響してくる点、弾いていない弦のミュートが難しくなってくること、また四弦ベースと比べたときのブリッジ部分の弦と弦の間隔の違いなど、演奏に直接影響してくる部分が多々あるのが特徴です。
これらの要素は五弦ベースにも当てはまることですが、四弦ベースから持ち替えた場合に、なかなか思ったようにコントロールできず慣れるまで時間を要する、ということがあるのも事実です。
また音色の部分に関しても四弦とはやや違った鳴り方をするので、この辺りも好みが分かれる部分ですね。

五弦や六弦ベースは、四弦ベースから見た演奏性の違いにばかりに目が行くと短所が気になるところですが、音楽性の面から見ればベーシストとして大きな武器になるのは間違いありません。Low-B弦の重低音でアンサンブルを支えたい、Hi-C弦を使ってよりテクニカルなアプローチをしたい、という人はぜひ多弦ベースにトライしてみると良いでしょう。

板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



TUNECORE JAPAN