第16回:ベーシストにお薦めの映画紹介vol.11 『ブルース・ブラザース』の巻

ベース大好き! by 板谷直樹 2014年4月3日

ベーシストにオススメの映画を、板谷直樹氏が紹介するこのコーナー。今回はブラックなアメリカンジョークも満載の、THE音楽映画です。出演アーティストもバックバンドも豪華で、必見の作品です! ローハイド!

今回は公開から30年以上経った今でも愛され続ける、ミュージカルコメディ映画『ブルース・ブラザース』(1980年作品)を紹介します。元々アメリカの人気バラエティコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のキャストだったジョン・ベルーシとダン・エイクロイドが番組のコーナーとして結成したものでしたが、人気が出たことによりストーリーを付け映画化したのが本作品です。

主演の2人を含めバンドメンバーは主に白人ですが、客演するアーティスト達は黒人で、演奏されるものはブルースやR&Bとなっており、黒人音楽に対する深いリスペクトを込めた内容となっています。

豪華な黒人ミュージシャンが多数出演

冒頭から印象的なのはシカゴの工業地帯の空撮で、薄汚れた空気の感じがなんとも言えません。ジョリエット刑務所(プリズンブレイクのロケ地)から出所してくるジョリエット(ジョン・ベルーシ)を迎えにきた弟のエルウッド(ダン・エイクロイド)が再会し、かつて育ててくれた孤児院に挨拶に行くところから物語ははじまります。

ところが久々に訪れた孤児院は税金が払えず、施設存続の危機に陥っていることを知る2人。孤児院をなんとか救おうとバンドを再結成し音楽で稼ごうと奮闘、ドタバタの珍道中を繰り広げるというストーリーです。

見どころはなんと言っても登場してくる豪華な黒人ミュージシャン、アーティスト達とその音楽でしょう。孤児院管理人のカーティス役にキャブ・キャロウェイ。バンドを組む啓示をうける教会のクリオファス牧師はジェームス・ブラウン、その聖歌隊のメンバーにチャカ・カーン。路上ミュージシャンにはジョン・リー・フッカー、ソウルフードカフェの店員でバンドのギター、マーフィの妻にアレサ・フランクリン。そして楽器店の店主にレイ・チャールズという超大物揃い。それぞれの場面で個性的な演技と文句の付けようのないパフォーマンスを披露してくれます。

ジョリエットを周到に追いかける元恋人役のキャリー・フィッシャー(スターウォーズのレイア姫)も、いい味を出していますね。ロケットランチャーや火炎放射器、M16A1自動小銃をぶっ放し、世間のイメージからかけ離れた役がとても面白い! またジェイクが出所する際に所持品を返す刑務官を演じているのが、ヨーダの声で有名なフランク・オズ。何故かスターウォーズ繋がりで、知っている人はニヤリとしてしまうはず。

ドナルド・ダック・ダンのプレベをチェック!

再結成したブルース・ブラザースが最初にギグをする「ボブのカントリー・ハウス」のシーンでは、黒人音楽と対照的に白人のカントリー・ミュージックを揶揄する表現になっていて、笑いの要素がたっぷりなんですが、店主と妻の会話のニュアンスや店に来たお客のファッションなど、細かいところまでよく演出されていて感心します。マニアックですがドナルド・ダック・ダンのプレシジョン・ベースも劇中を通して場面ごとに色が変わっていきますよ(赤→サンバースト→白→サンバーストというように)。

警察の競売で見つけた払い下げのダッジ・モナコ1974年型のパトカー「通称ブルース・モビール」や、主人公とバンドメンバーがかけているサングラス「レイバンのウェイファーラー」も印象に残りますね。

監督が誰なのか調べてみると、あのマイケル・ジャクソンのPV「スリラー」を撮ったジョン・ランディスでした。「ブルース・ブラザース」からも観る人を楽しませるなら何でもする、というようなスケールの大きさを感じさせてくれます。また彼の作品の特徴に「有名監督をカメオ出演させる」という手法がありますが、本作でもクライマックスに出てくる納税事務所の担当者がなんとスティーヴン・スピルバーグ監督だったんですね。音楽と笑いとカーアクションが見事に詰まって理屈抜きに楽しめる、30年経った今でも全く色褪せないパワーを持っている作品だと思います。まだ観たことのない人はぜひチェックしてみてください。

DuckDunn

譜面は白人ソウル・ベーシストのパイオニア、ドナルド・ダック・ダンがお得意とする、ルートからメジャー6thへ音を滑らかに繋ぐベースラインの例です。プレシジョン・ベースのサウンドにも注目して聴いてみてください。

告知

2014年4月27(日)
「ボーカリストとベーシストのためのワークショップ vol.2」が開催されます。板谷直樹(B)、小林貴子(Vo)の両氏が、筋肉の使い方から音楽理論までを120分超に凝縮して伝授するとのこと。限定25名の参加となるので、お早めにご予約を!
http://peatix.com/event/31522

板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



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