第10回:ベーシストにお薦めの映画紹介vol.5 『私をスキーに連れてって』の巻

ベース大好き! by 板谷直樹 2014年1月8日

HAPPY NEW YEAR! ベーシストにオススメの映画を紹介しているこのコラム、5回目はバブルへGO!なあの作品の登場です。雪国育ちの板谷直樹氏ならではの、実体験に基づいたレビューをお届けします。もちろん、ベース演奏についても考察していますよ!

あけましておめでとうございます。皆さん、お正月はゆっくり過ごせたでしょうか? 例年この時期はライブや執筆に追われていることが多かったのですが、今年は割とゆっくりと過ごせたように思います。カウントダウンを神社で迎え、そのまま初詣をしてきました。

さてさてこの時期、冬のスポーツと言えば皆さんスノーボードかスキーでしょうか? ウーン、少なくとも僕は雪国出身なのでゲレンデに行くことが普通だったんですけれどもね……。というわけで今回はバブル時代の真っただ中に上映されて大ヒットした『私をスキーに連れてって』(1987年作品)を紹介しましょう。

ダサかっこいいバブル期のアイテムたち

俳優三上博史を一躍有名にした作品で、ヒロイン役は当時まだ20歳の原田知世。脇を固めるのが高橋ひとみ、原田知世の実姉の原田貴和子、故沖田浩之や布施博といった面々で、当時の若くて瑞々しい演技が見物です。

ストーリーはタイトルそのままのスキーを題材にした恋愛物語。携帯電話もSNSも無い時代、電話番号ひとつ聞き出すにも一苦労だし、リフトで隣同士になるだけでドキドキ。デジタルカメラも無く、現像したフィルムを後日皆で見て盛り上がる場面など、この時代ならではのロマンに満ちた人間模様がよく描かれているように思います。

当時を知っている人は一瞬でタイムスリップさせてくれるし、そうでない人も純粋に楽しめる作品ではないでしょうか。

この映画に出てくるさまざまなアイテムが世の中の1つの流行を作ったのも事実で、例えばスキー場で無線を使ってやり取りするなんてことはまず無かったのですが、映画公開後にはゲレンデでヘッドセットのトランシーバーを使う人をよく見かけたものでした。ウーン、今考えるととてもダサいですが……、そんな時代でした(笑)。沖田浩之はプライベートでもアマチュア無線愛好家で、コールサインのやりとりを劇中でも披露していましたね。

また、原田知世が身につけていたスキーウェアの影響で、当時の女の子達は大抵白のウェアに身を包んでいたものです。スキーからブーツを解放する動作や、ムカデのように連なって滑るトレイン走行なども、映画をまねてやっている人が本当に多かった。うーん、ゲレンデが恋しくなってきました。また三上博史が乗るトヨタのカローラ2は高級車でなくても「主人公になれる」ことを教えてくれたり、原田貴和子と高橋ひとみの駆るラリー仕様のセリカGT-FOURに憧れた人も多いことでしょう。

全編を彩るユーミンの楽曲が印象的!

さて、この映画のもう1つの目玉は、何と言ってもシーンに合わせて流れる松任谷由実の楽曲でしょう。冒頭、三上博史がカーコンポにカセットを入れてスキー場へ向かうシーンの「サーフ天国、スキー天国」(エンドロールでも流れます)。皆で楽しくスキー場を滑降するシーンは「恋人がサンタクロース」。吹雪の大晦日、車を飛ばして告白しに行く場面の「A HAPPY NEW YEAR」。冬は滑降禁止のツアーコースに向かった原田を三上が追うシーンの「BLIZZARD」など、場面場面の心情をうまく表現して観る人の感情を揺さぶります。

譜例は「BLIZZARD」風のスラップベースを板谷なりにアレンジしてつくったものですが、J-POPでどのようにスラップベースが使われているか、ドラムパターンとの兼ね合いなども気にして、読者の皆さんなりのパターンをたくさんつくってみてください。

この映画は制作している人達もきっと楽しんでいたに違いない、そんな雰囲気がひしひしと伝わってくる作品ですね。世の中をスキー天国にした名作、まだの人はぜひ! そして昔観た人もこの機会にあらためてチェックしてみてはいかがでしょうか?

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最後に「私をスキーに連れてって」オマージュ作品と言える ZEN-LA-ROCK「ICE ICE BABY feat. JOY McRAW」 のMVも紹介しておきますね。

板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



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