第7回:ベーシストにお薦めの映画紹介vol.2 『ラブソングができるまで』の巻

ベース大好き! by 板谷直樹 2013年12月5日

“ベース大好き!”的映画案内、ナビゲーターに板谷直樹氏をお迎えしてお送りしています。2回目は歌にまつわる恋愛映画をピックアップ!

こんにちは、ベーシストの板谷直樹です。すっかり冬ですが皆さんはどんな日々を過ごしていますか? クリスマスは近いけど、一人で寂しいよ~、なんて人もいるのでしょうか?

そんな人のために(もちろん、そうじゃない人にも)心温まるオススメ恋愛映画を紹介したいと思います。

 ミュージシャンも納得の「あるある」場面

『ラブソングができるまで(原題Music and Lyrics)』(2007年作品)。ストーリーはかつて一世を風靡したポップグループのボーカリスト、アレックス(ヒュー・グラント)が人気絶頂の歌姫から突然依頼された新曲提供に苦戦中、たまたま部屋の植木に水をやりに来たソフィー(ドリュー・バリモア)が鼻歌程度に口ずさんだ歌詞に才能を感じ、2人で曲を作り上げて行く中で起こるコメディータッチの恋愛物語。

「ダメ男役をやらせたら世界一」の異名を持つヒュー・グラントは、この作品でも遊園地や同窓会のイベントで巡業するもはや過去の人。「あの人は今」みたいな番組にも出演を打診される、愛すべきダメンズを面白可笑しく演じています。イケメンなのにやっぱりこの人にはハマり役ですね。歌姫コーラ役のヘイリー・ベネットは若くてセクシー、その魅力にも要注目です。

のっけから笑わせてくれるのが80年代風のポップソングPV。MTVを見て育ってきた世代には、ファッションや髪型、妙な腰振りダンスに至るまで、「あー当時はこんな感じだったよね」とうなずきまくり。劇中に飛び出すアーティスト名も当時活躍した「REOスピード・ワゴン」「デビー・ギブソン」「ティファニー」など、あー知ってる知ってる! という感じでニヤリとさせられます。台詞のひとつひとつにもユーモアが満ちていて最後まで飽きさせません。

単なる恋愛コメディーかと思いきや、アレックスとマネジャーのやり取りや、デモ作成にPro Toolsを使ってピアノ→ベース→アコースティックギター→打ち込みドラム→仮歌と多重録音していく場面など、細かな設定には現実味を感じてミュージシャンが見ていても「あるある」場面が多くて面白いですね。

アダム・シュレシンジャーに注目!

そんな劇中の音楽は幅広いジャンルで本当によくできていて感心します。歌姫役のヘイリー・ベネットが歌うのはインドポップ的な要素が詰まった現代風の曲、アレックスが同窓会の営業で歌う「Meaningless Kiss」はワム!の「ケアレスウィスパー」を意識したような珠玉のポップバラード。ラストのコンサートでアレックスがピアノを弾き語る場面は、まるでエルトン・ジョンかビリー・ジョエルを彷彿させ、どの曲も一度聴いたら忘れられないようなメロディでサントラ盤が欲しくなってしまいます。それにしてもヒュー・グラントは歌が上手なんですよね、そんな部分も楽しめます。

一体誰が曲を書いているのか? 数名の作家がいますが、その中心人物は知る人ぞ知るアダム・シュレシンジャーという人物。Fountains Of WayneやIvy、Tinted Windowsといったバンドでベースを弾いていて、FUJI ROCK FESTIVALやサマーソニック出演で来日もしているんですね。Scratchieというレーベルも運営していて、仕事ぶりは多岐に渡っています。日本ではまだ無名かもしれませんが、この映画を通して僕の中では間違いなく要注目人物となりました。気になった人はぜひ、他の作品も調べて聴いてみるといいでしょう。

「ラブソングができるまで」、音楽も楽しみながらぜひ観てみてください。

 

板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



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