第3回:櫻井哲夫インタビュー(前編)〜解像度が増すと、低域の説得力がものすごく出る

ベース大好き! by 聞き手:西野正和 2013年9月21日

『IT’S A JACO TIME!』の録音秘話、『TALKING BASS』でのマーカス・ミラーとの作業の模様などを、櫻井哲夫さんにじっくり伺っていきます。

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ベーシストがベース愛を赤裸々にさらけ出すこの連載、今回のゲストは櫻井哲夫さんです。2013年9月21日にリリースされた『IT’S A JACO TIME!』(櫻井哲夫JACOトリビュート・バンド)は、櫻井さんがジャコ・パストリアスに真正面から取り組んだ作品として話題ですが、CDとハイレゾの両方でリリースされているのも、特筆すべきところ。ハイレゾというと高音域の伸びばかりが注目されがちですが、低音にとっても大きなメリットがあるからです。というわけで前編では、『IT’S A JACO TIME!』と前作『TALKING BASS』のお話を中心に、キング関口台スタジオのマスタリングルームで、伺っていきましょう(マスタリングエンジニアの辻裕行さんにも同席していただきました!)。聞き手は、オーディオメーカーREQSTを主宰し、ハイレゾに造詣が深いのはもちろん、低音大好きでベース愛に溢れる西野正和さん。長年の櫻井さんファンということで、興味深い話を聞き出していただけそうです。それでは、早速行きましょう!

JACO

 

TALKINGBASS

一発録りの良さが残っている作品

西野 早速、できたてホヤホヤの新作『IT’S A JACO TIME!』を聴かせていただきました。しかも、96kHz/24bitのハイレゾ版の方を。びっくりしたのは、とにかくグルーブが素晴らしいということ。スタジオ録音というよりは、ライブ盤のような生々しさが印象的でした。

櫻井 そうですね。バンドで録りましたので、スタジオライブみたいな感じにはなっていますね。

西野 どのような録音スタイルだったのですか? 先にリズム隊だけ録ったとか、クリックがあったのか、とか。

櫻井 クリックはありです。でも、クリックが無い曲もありましたけど……。演奏は、「せーの!」でドンでしたね。

西野 その一発録りの良さが、すごく残っている作品だと思います。

櫻井 1曲目なんて、まさにワンテイクです。そのまま、「良いよね」ってOKテイクになっている。ギターが渡辺香津美さんなので、ルールさえ分かれば、あとは1回目が一番良いよねっていう感じでした。

西野 噂では、渡辺香津美さんは一度も同じフレーズを弾かないそうですね。毎回、ソロが違ってくるという。

櫻井 そうですね。全然違うので、だからどれでも良いんですけど(笑)。でも、1回目がやっぱり一番新鮮なんですよね。2回やると、進行自体にしてもそうですけど、なんか「また来たか」みたいなムードになってしまって。

西野 そこが、一発録りの良さですよね。

櫻井 荒っぽいですけどね(笑)。

西野 リスナー側は、実はそういうのが聴きたいんですよ。

櫻井 そうですよね! 最近はみんな演奏を細かく直しちゃうから、綺麗にはなるんだけど、引っかからなくなってしまう。スムーズに行っちゃうんですよね。

西野 心に引っかかる部分っていうのは、例えば危うかったポイントを切り抜けたあとが、私はとっても魅力的だったりします。

櫻井 テイクワンだと、頭で考えて演奏するというより、他のプレイヤーの音に知らないうちに反応するっていうのがありますからね。

西野 『IT’S A JACO TIME!』のサウンドには、聴き手がキャッチできるくらい、その感じがしっかりと残っていました。特に、ハイレゾ版ならではの音の良さということも、大いにプラスへ作用したのかと思います。ハイレゾ版は、やはり音楽を記憶する器の大きさに優位性がありますから。

櫻井 やっぱり、CDと音質は違うと思いますね。

櫻井作品のハイレゾ版はトップクラスの低音の質

西野 レコーディングでは、楽器ごとに録音ブースに入られたのですか?

櫻井 ドラムは音がかぶっちゃうので、ピアノと分けないといけません。ですからピアノとドラムだけはブースで分けました。ピアノの曲を最初に録って、3曲かな。ピアノ有りのときはドラムにブースに入ってもらって、ピアノ無しのエレピとオルガンの曲は、ビッグルームにドラムをまたセッティングし直して、みんなと一緒に、本当にライブみたいに演奏しました。

西野 ブースに分かれて細かく楽器ごとに録るのも場合によっては有効ですが、個人的に録音は一発録りが大好きなんです。

櫻井 一発録りは、なかなか難しいですよね。あと、やる機会がやっぱりみんな少なくなっているんじゃないですか。

西野 レコーディングにライブを一緒に経験しているメンバーが多かったのが、やはり効果的に効いているのではないでしょうか?

櫻井 もともとトリビュート・バンドっていう形で、ジャコの命日である9月21日に、六本木STB139で5年前からトリビュートライブをさせてもらっていて。それを4年間続けて、メンバーもほとんど固定の感じですので、バンド形態になってきたんですよね。みんな「ここはこうやりたい」みたいな、曲に対する思い入れもあるので、よりバンドっぽくなってきた。あと今年は、ちょうど5年目なんですね。じゃあ、そろそろ形にしても良いかもしれないっていうことで、『IT’S A JACO TIME!』をリリースすることになったんです。

西野 “櫻井哲夫JACOトリビュート・バンド”は、櫻井さんがライフワークとして続けられているという感じを、私達ファン側は受けていました。

櫻井 まだ、ここ4〜5年の活動ですけどね。

西野 このご時勢、なかなか5年は続かないものです。だから、こうして記録として残ったのは、リスナーとして本当にうれしいです。しかもCDというパッケージでも残るし、ハイレゾ版でもっと良い音でも聴けるという、うれしさ。

櫻井 ハイレゾ版だと96kHzで聴けるなんて、素晴らしいですよ。

西野 ただ96kHzだったら何でも良いかというと……全部が全部のハイレゾ音源が、マスタリングスタジオの音そのままで私達の家に来ているのかと言えば、意外とそうでもないんです。まだまだハイレゾ音源は、どの作品を選んだら音の良いものが手に入るのか、宝探し的なところがあって。でも、櫻井さんのハイレゾ版2作品(『IT’S A JACO TIME!』『TALKING BASS』)は、両方とも大当たり。びっくりしました。この間、ハイレゾ音源のイベントをやったんですけど、前作『TALKING BASS』を鳴らしたら、皆さん息を呑んで聴いていましたよ。「なんだこれは!」っていうくらいの低音の洪水でしたから。

櫻井 解像度が増すと、低域の説得力がものすごく出るかもしれないですね。

西野 いまハイレゾ音源がたくさんある中でも、ここまでの低音はなかなか無い。トップクラスの低音の質が収録されていると思います。その『TALKING BASS』に続き、新譜の『IT’S A JACO TIME!』がハイレゾで出るということで、大いに期待していたわけです。そうしたら、まずはグルーブに驚きましたし、フレットレスベースの鳴りっぷりが素晴らしかった。

櫻井 まあ、ジャコのトリビュートですからね(笑)。

西野 もちろん、櫻井さんという弾き手が良いと言われればそれまでですが、ここまでフレットレスベースの鳴りっぷりが良くて、聴いていて芯があるサウンドは、なかなか出会えないものです。例えばバンド形式ではない打ち込み系のバックでプレイするフレットレスの曲では、センターのベースがグッと前に出ています。モコモコした音ではなく、きっちりフレットレスのフレーズが立って、芯がある。あと、ファンとしてはスラップの曲があったのもうれしかった。

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櫻井 ジャコのトリビュート・アルバムでは、本当はスラップが無くても良かったんですけど(笑)。ライブありきの話でやっていたプロジェクトなので、ライブの中で自分のベースソロのコーナーもあるんですよね。バンドのみんなを下げたときのベースソロ用に、自分の打ち込みでフォローした曲を収録してあります。あとライブはやっぱりスラップソロもやっているので、ジャコの音楽の再現だけよりも、櫻井哲夫から見たジャコの紹介のアルバムを出すとしたら、ジャコの曲をスラップで解釈するというのが1曲くらいはあっても良いかなって。結構大胆なアレンジなんですけどね。

西野 大満足でした。

櫻井 あれも原曲をご存じの方には、「え!」って言ってもらえると思うんですよね。

西野 そうでしょうね。ちなみにあのスラップ曲で弾いたベースは、フレットレスではないですよね?

櫻井 あれはフレッテッドですね。フェンダーのジャズベース、60年のレプリカ、復刻版です。

西野 もちろんフレットレスの演奏も素晴らしいんですけど、スラップがあって、欲しいものがちゃんと手に入った感じがしました。

櫻井 すっきりしました?(笑)。

西野 はい(笑)。では、楽器の話もぜひ教えてください。今回使用されたフレットレスは、パッシブですか?

櫻井 はい、ジャズベースですからね。楽器屋さんで売っているのとそのまま同じ状態です。全く改造していません。僕はいろんな音楽を演るので、ジャコのときはやっぱりフレットレス・ジャズベースのこの音が、自分の中ではものすごく必要なんですよね。真似をするとかそういうことではなく、この音色がジャコの説得力のある表現の大きな部分だと思うんです。先ほどのグルーブの話もそうですし、楽曲もそうですけど、フェンダージャズベースのフレットレスにロトサウンドの弦を使ったこの音っていうのは、ジャコの1つの値打ちだと思うんですよね。で、ちょうどフェンダーがジャコ・パストリアス・トリビュート・モデルを数年前に出して、それを試してみたんです。「本当にジャコの音が出るのかね?」って思って(笑)、弾いてみたら、出るじゃあないですか! 他の楽器だと、一生懸命リアピックアップの方で弾いて硬い音にしても、倍音が出なかったりするんですよ。そうすると、いくら無理しても「ヘタだなぁ」「できないなぁ」となってしまう。でも、「これなら出るじゃん」って(笑)。ですからジャコ・パストリアス・トリビュート・モデルを使うようになってから、なおさらジャコの曲をアレンジして自分の作品の中に入れるようになりました。

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ハイレゾで見直してほしいローの大切さ

西野 『TALKING BASS』のときの「ドナ・リー」も、この楽器ですか?

櫻井 そうです。その2年前のデビュー30周年記念の『MY DEAR MUSICLIFE』でも「ティーン・タウン」「クル」で使っています。

西野 櫻井さんの「ドナ・リー」にもびっくりしました。

櫻井 「ドナ・リー」は、オリジナルを完コピしてできるようになったので、それをちょっとふくらませて演るという発想もあったんですけど、元を再現する良さもあるということで。でも、レコード会社のディレクターとも相談して、ソロの部分はジャコと別のオリジナル感を出した方が良いのでは、ということになりました。前半のテーマの部分はオリジナルと全く一緒ですけどね。

西野 テーマは節回しもそっくりですが、シンセベースでルート音を入れてありますよね。

櫻井 はい、ウッドベースの音で。それで展開がすごく分かりやすくなったと思います。

西野 私もジャコの原曲を聴いていると展開を見失っているタイプで、「あれ、いまどこだろう?」って。それがなぜか櫻井さんの「ドナ・リー」はすっきり聴けていたので、不思議に思っていました。あのルート音のおかげなんですね。さて、ハイレゾ版『TALKING BASS』の話題に戻りますが、あの48kHz/24bitの音質は本当に素晴らしいです。マーカスとの共演の曲を、オーディオイベントのデモで流させていただいたんですけど、もう絶賛でした。もちろんお2人のプレイが素晴らしいというのもありますが、その下のシンセベースのズドンっていう音が、実はいままでのCD規格では入りきらないくらいの低域大盛りで鳴るんですよ。太いシンセベースの低音の上で、お2人のベースがバチバチと会話を交わし始める。このハイレゾサウンドには、オーディオマニアもイベントで度肝を抜かれていました。

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櫻井 なんか最近の音楽って、高音が多いんですよね。要するにiPodで聴いている時点でローカットされているような、耳につくサウンドになっている。マスタリングでも、耳につくようにっていうコンセプトで仕上げたりもするじゃないですか。ですからシャカシャカするわけです。そういう音域ばっかりがあふれているのが、今の日本の生活環境だと思うんです。それはフェスティバルでも同じで、大きな野外フェスでドラムのキックが「こんなに聞こえないのか……」とショックを受けたこともあります。要するにテレビもそうですが、日本の音楽マーケットの中では、高音を上げたり、低音に対するコンプの加減が強かったりしてしまう結果、ローカットされたようなサウンドがすごく多いなと感じますよ。そういう音に慣れてしまっている現状の日本人の耳には、『TALKING BASS』のサウンドは非常に斬新かもしれないですね。

西野 確かに、アルバム全体に、土台となる低音がしっかりとありました。

櫻井 海外のジャズフェスなんかに行くと、インドネシアなんかでも、日本よりはるかに「これだよね!」っていう音を作るんですよ。やっぱりローに関して、すごい迫力のある音を。ハイレゾでの音楽配信を通じて、やっぱりローって大事なんだなっていうのを、見直していただけたら良いんじゃないですかね。

ローがよく聴こえるなら、ハイもちゃんと存在している

西野 そういった意味でも、ハイレゾ音源は素晴らしいですよね。本当にプロを目指す人も含めて、ベーシストの皆さんには櫻井さんのハイレゾ作品を大いにオススメしたいです。音質の良さはもちろん、特にマーカス・ミラーとの共演は、お2人のスラップとシンセベースという3つの味の低音が楽しめるわけですから。

櫻井 気が付いていただいてうれしいんですけど、あの「バタフラ イ」という曲は、エレキベースが2つで、マーカスは4弦、僕は5弦ベース。アレンジで音域の役割分担をしてあるのでゴチャゴチャにはなっていないんですけ ど、6弦ベースだとチェロの域までいけるのが、2人ともハイCの弦を使っていない音域でリードを取っているので、しっかりしたボトムのベースがないといけないなっていうことを気にしたんですね。それでコルグのクロノスっていうシンセサイザーに入っている普通のプリセットのベース音の中で、エレキベースとのブレンドが一番良いものを選んで使っています。

西野 打ち込み自体も櫻井さんですか?

櫻井 僕がやった部分もあるし、今泉(タイキ)さんがやった部分もあります。あの曲のベースに関しては僕がラインを作っているのでほとんど僕ですね。今泉さんは、演奏家としても素晴らしいですよ。

西野 最近は、エンジニアのクレジットにも櫻井さんのお名前がありますよね。

櫻井 家にPro Toolsがあってシンセがあるので、録音に関してできるところはどんどんやっていますね。シンセに関しては、めちゃくちゃシンセに詳しい今泉さんにすごく助けてもらってますよ。

西野 ちなみにエンジニアの辻さんにお伺いしますが、『TALKING BASS』のマスタリングに関して、低域についてはどのように取り組まれたのでしょう? 

 こちらでファイルをいただいて再生した段階で、もうボトムがしっかり出ていた記憶がありますね。だから、ほんの少し足した程度だったと思います。0.5dBだとか……。櫻井さんのプロジェクトに関しては、1dBとか2dBなんていう大幅に動かしたりしたことは、今まで記憶が無いんですよ。

西野 櫻井さんが持ってくる段階で、がっちりとした土台がある。

櫻井 そうですね。ある程度アレンジの段階から考えていますから。ローがよく聴こえるということは、ハイもちゃんと存在している。対比ですからね。そのバランスが、ローとかぶらない感じを配慮しているつもりです。「バタフライ」は、『TALKING BASS』の中では一番音が多いんですよ。バンドサウンドっていうか、ゴージャスになっているんですけど、そんなにゴージャスに聞こえないような、ベース中心のアンサンブルにはなっていると思います。

西野 拙著『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』でマーカス・ミラーと対談したときに、彼も同じことを言っていました。「みんな後から低音を上げられると思っているけど、そんなことはない。最初からその目的で作っておかないと、後からEQで低音を上げたって出てくるシロモノではないからね」って。

櫻井 そうですよね。

ベース競演モノ秘話

西野 私は、櫻井さんと他のベーシストの競演モノが大好きなんです。このマーカスとの「バタフライ」もそうですし、日野”JINO”賢二さんとの『TETSUJINO』、カシオペアでは『4×4』、角松敏生さん『SEA IS A LADY』の「THE BASS BATTLE」とか。バトル企画で櫻井さんが出てきたら、ものすごくワクワクするところがファンとしてはあるんです。他ベーシストとの競演のときは、やっぱり「やってやろう!」的な気持ちはあるんですか?

櫻井 そうですね、日野賢二くんのときはそうじゃないとダメですね。『TETSUJINO』のジャケット写真みたいに、ベースのネックを噛むぐらいの感じでいかないと(笑)。だから相手次第ですよね。マーカスは大人ですから、バトルっていうか……最初に僕がマーカスのためのカラオケを完璧に作って、譜面も書いて、ここだけお願いするっていうのを明確にしておきました。でも、他にマーカスがやりたいところがあったら、自由にしてって。ですから、僕のソロは日本で先に演奏しておいてから、マーカスに弾いてもらいました。そうしないと分からないじゃないですか、掛け合いやメロがあるので。こっちが「こうだよ」っていうのがあれば、「だったらこうしようかな?」っていうのがスムーズだと思うんですね。マーカスとの「バタフライ」は、本当にスムーズだったんです。角松くんの「THE BASS BATTLE」のときは、バトルって言っても角松くんのスタジオに1人で呼ばれて。「櫻井さん、いっぱいやっといて」って。それを彼が編集したわけだから、こっちはそのつもりでいろいろなネタを残したっていうことです。あとで聴いたら「こうなったんだ!」っていう感じですよね。

西野 「THE BASS BATTLE」の六連符フィルは最高でした。

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櫻井 バトルで頑張るっていう意味では、やっぱり『TETSUJINO』でしょう。日野くんの場合はすごくエネルギーがあるから、僕の曲に関してはそれをなるべく引き出すように作曲とアレンジをしました。「これでもか!」ってみたいにしたら、ヒイヒイ言っていましたけど(笑)。それでも負けん気が強い人だから、あれはあれで成功かな。あと、僕にとって一番バトルで頑張ったのは、レベル42のマーク・キングと、よみうりランドEASTと大阪城ホールの2箇所で、カシオペアと対バンでやったときかな。あの公演で「ベースソロのバトルをしてね」って言われたときは、それはもう(笑)。

西野 それは作品としては残っていないんですか?

櫻井 あれはライブだけですね。そのときは、やっぱり対決ムードになるじゃないですか? だからスピーカーの上からジャンプしてバーっと前に飛び出したりとか、いろいろやるわけですよ(笑)。普通に弾くだけではダメだろうとなると、何かしら体が反応しますね。

西野 そういうのが大好きです。『TETSUJINO』のときも、今回のマーカスのも、大いに燃え上がって聴いています。マーカスとの「バタフライ」は、櫻井さんが演奏は先行だったんですね。

櫻井 そうです。マーカスはゲストですから、僕が先に演奏したカラオケの上で「じゃあ、こうかな〜」っていう感じでやってくれて。でも、すごく良い意味で期待を裏切られたというか。送られてきた1本のWAVファイル、それをパッと再生したら、ものすごい大人なのでビックリしましたね。余談ですけど、可笑しかったのは、最初に送られてきたWAVファイルの中に、イントロからAメロの途中まで音が無いんですよ(笑)。「最初の方は音が無いんだけど、これはどういうこと?」ってマーカスに聞いたら、「あ、ごめん」って。OKテイクとして送ってきているのに、頭が欠けていたわけです。そういうデータを送ってくるのも、マーカスらしいんですけどね。

西野 あの曲に関しては、いろいろなインタビューでも意外にさらっとしか触れられていないですよね。

櫻井 皆さん、良さに気が付かないんですかね(笑)。それと、どっちが僕でどっちがマーカスか分からない人が多いみたいです。

西野 先に弾いているのがマーカスですよね?

櫻井 そうです。分かりますよね? でも、よっぽど好きじゃないと分からないのかな?

西野 私も当然分かると思って聴き始めたんですが、一瞬不安になったんですよ。最初がマーカスだというのは聴けばすぐ分かるんですけど、櫻井さんの番になったときに「あれ?マーカス? 桜井さん?」って。予想していた櫻井さんの音色と違ったものですから……。あれはフェンダージャズベースですか?

櫻井 あれはフォデラなんです。

西野 え〜! フォデラなんですね。もっとパキパキのスラップでくるのかなと思っていたら、意外に両方とも大人な感じだったので、マニアとしては聞き分けが微妙で一瞬冷やっとしました(笑)。すぐにリモコンのリピートボタンを押して聴き直したくらいです。

櫻井 メロはさすがに分かりますよね。そのあといろいろソロとかやると、似てはいないんだけど、同じようなコンセプトでソロをすると、分からない人は分からなくなっちゃうんですね。

西野 あの曲はこの“ベース大好き!”コーナーの課題曲として、ベーシストの皆さんにちゃんと聴いてほしいですね。あんな面白い夢の共演が実現したのですから、みんなもっと騒がないといけないですよ。

櫻井 自分としては、自信作なんですよ。マーカスと演って、ちゃんと2人の存在が生きるようにバランスよく作って、アレンジをしていますから。結構な傑作だなと自分では思っていて、アルバムの3曲目に入れています。

西野 ハイレゾ版『TALKING BASS』は発売したばかりですから、まだまだ新譜と言えるでしょう。私はどんどん紹介していきたいと思っています。

櫻井 ぜひ!
(後編に続きます)

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【Live Information】

【公演名】櫻井哲夫 Birthday “NEW LIVE”
【出演】櫻井哲夫(b)、菰口雄矢(g)、AYAKI(key)、山本真央樹(Drums)

櫻井哲夫 Birthday “NEW LIVE”は、久しぶりに櫻井哲夫の『オリジナルバンドサウンド』を”ニュースタイル”でお届けします。メンバーは、若手ナンバーワンの実力派ミュージ シャン。この素晴らしいミュージシャンとのスーパーセッションをお楽しみください。

【日程】2013/11/6(水)
【会場】 名古屋Blue Note(名古屋市中区錦3-22-20 ダイテックサカエ B2F )
【問合せ】 052-961-6311 (http://www.nagoya-bluenote.com/)
【時間】 1st show 開場/17:30 開演/18:30 ,  2nd show 開場/20:30 開演/21:15
【料金】 ¥6,300(税込)/ メンバーズ会員特別価格:¥5,000 ※1会員につき同伴者1名まで有効
【発売】メンバーズクラブ会員先行販売:10/8(火) 11:00〜 一般ユーザ販売:10/15(火) 11:00〜

【日程】2013/11/7(木)
【会場】大阪 ミスターケリーズ
(大阪市北区曽根崎新地2−4−1ホテルビスタプレミオ堂島1F)
【問合せ】TEL:06-6342-5821(http://www.misterkellys.co.jp/index.html
【時間】18:00開場 / 1st 19:30開演, 2nd 21:00開演
【料金】¥5,800(税込)2ステージ入替えなし

【日程】2013/11/13(水)
【会場】六本木 STB139スイートベイジル (http://stb139.co.jp/)
【問合せ】TEL;03-5474-0139(受付時間 月曜〜土曜日 11:00a.m.〜8:00p.m.)
【時間】18:00開場 /19:30開演
【料金】全席自由¥5,500(税込・飲食費別)
【発売】9/22(日)プレイガイド(ローソンチケット)・・・Lコード:75540 9/24(火)STB139

詳細は公式サイトのLive Informationをご覧ください。
http://www.tetsuosakurai.com/liveinfo.html

西野 正和(にしの まさかず)

株式会社レクスト代表取締役。オーディオアクセサリー“レゾナンス・チップ”で1998年に起 業。スピーカー、DAコンバーター、ケーブルと拡充していった 製品ラインナップは、オーディオ愛好家だけでなくミュージシャンやエンジニアからも高い評価を得ている。また、CDソフト制作にも深く関わり、制作側と再 生側の両面より最高の音楽再現を追及する。楽器ケーブル唯一のエンドーサーは、アンソニー・ジャクソン氏。著書『ミュージシャンも納得!リスニングオー ディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』『すぐ できる! 新・最高音質セッティング術』(すべて小社刊)
◎レクストWEBサイト⇒http://www.reqst.com

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