第38回:ベーシストにお薦めの映画紹介vol.33『ゲッタウェイ』の巻

ベース大好き! by 板谷直樹 2016年8月30日

ベーシストの板谷直樹さんが、オススメ映画を紹介するこの連載。今回は、監督、主演、音楽、演奏と豪華な面々が揃ったアメリカ映画の登場です。一時代のアメリカのアイコンのようなこの作品、ベーシストはいったいどう見たのでしょうか?

つい先日ハーモニカ奏者のトゥーツ・シールマンスの訃報が届いた。10代の頃テレビかビデオで見たギターを弾きながら口笛を吹く姿を見て、ハーモニカ以外でもすごいんだなぁ、、と感心したことが先日のよう。先日はライブでも代表曲の「Bluesette」を演奏して、MCでもそのことを話したばかりだったので残念です。2014年3月に引退していたのですが、その時はニュースでも取り上げられていました。御年94歳なので大往生ですかね、、。そこでふと思い出したのですが、テーマ曲で彼のハーモニカが印象的な『ゲッタウェイ』(1972年、アメリカ作品)を紹介しようと思います。

スティーブ・マックイーンの魅力

冒頭はカタカタと無機質な機械音をバックに高い柵で囲われたコンクリートの建物が映し出され、同じ服装をした人々と看守の姿。どうやらここは刑務所のようです。仮出所申請が却下され苛立ちを隠せない男。独房の壁には妻の写真。彼は裏取引で出所したものの、その見返りとして銀行を襲い金を届けることを命ぜられ、、果たしてその行く末は。

主演はスティーブ・マックイーン。主に60〜70年代に活躍し『大脱走』『ブリット』『栄光のル・マン』といったアクション作品で活躍しました。あまりしゃべらず顔の表情や背中のアングルだけで語り、どこかもの悲しい哀愁の漂う役が似合います。今のハリウッドスターとは一味も二味も違う魅力の俳優ですね。本作品では夫婦役を演じたアリ・マッグローと後に結婚もしています。顔が小さくスタイルも良く、ファッション雑誌では彼の着こなしや身につけていたアイテムが特集されたこともありますね。

車体の大きなアメ車のアクションは大排気量のエンジン音も臨場感があり迫力満点。見所とも言えるガンアクションで使用されるのはコルトパイソン357マグナム、12ゲージのポンプアクション式ショットガン等々。特にコルトM1911(通称コルト・ガバメント)はマックイーンが後に主演する『ハンター』でも使っているので、気になる人はそちらもチェックしてみるといいでしょう。

ペキンパー+クインシー+シールマンス

監督はバイオレンスのピカソと呼ばれたサム・ペキンパー。アクションにスローモーションを使った描写が特徴で、ジョン・ウーやクエンティン・タランティーノ作品、ウォシャウスキー兄弟の『マトリックス』などに多大な影響を与えた人物と言われています。またペキンパー本人は黒澤明の『羅生門』を最も優れた作品と評価しているそうです。

音楽を担当したのはクインシー・ジョーンズで、テーマ曲のハーモニカを担当しているのは冒頭でも紹介したトゥーツ・シールマンスです。驚くのは作品のエンドロールに、彼の名前が一番最初にクレジットされていることでしょう。俳優の名前より先にミュージシャンの名前が出てくるなんて普通はないことなので、これにはびっくりですね。

映画から話はそれますが、彼のハーモニカはジャコのソロアルバム『ワード・オブ・マウス』でも存分に聴けるので、ベーシストの皆さんもきっと耳にしたことがあるのではないでしょうか。これを機に是非改めて聴き直してみてはいかがでしょう。

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板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



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