第32回:ベーシストにお薦めの映画紹介vol.27(ネタバレ注意!) 『Robert Trujillo Presents / Jaco』の巻

ベース大好き! by 板谷直樹 2015年12月26日

ベーシスト板谷直樹さんのおすすめ映画コラム、まさかの前回から引き続いてのジャコパス作品です。2015年を締めくくる作品は、一体どのようなものなのでしょう。板谷さん、早速よろしくお願いします!

メタリカのベーシスト、ロバート・トゥルヒーヨが制作したジャコ・パストリアスのドキュメンタリー映画が去る11/27に発売されました(2015年)。今のところ輸入盤のみで日本語の字幕はなく、店頭やネット上でも軒並み品薄状態ですが、運良く発売からすぐに手に入れることができたのでここで紹介しようと思います(ネタバレにご注意!)。

ライブからプライベートフィルムまで貴重映像が満載

「Liberty City」の陽気なサウンドをバックにジョー・ザヴィヌル、ジョニ・ミッチェルらの語りによって始まる冒頭は、カラフルなアニメーションで構成されていて心が躍ります。そして本編に入りジャコが唯一残した教則ビデオのあの有名なシーンが、、。インタヴューアーを務めるベーシストのジェリー・ジェモットと握手を交わした後、本題に入って質問している彼に対し「ギグをやらせてくれよ」と言い出し、ジェリーが苦笑いするシーンですね。当時のジャコの状況からして全く冗談には受け取れない言葉で、あの時の思いをジェリーが回想します。

対照的に教則ビデオ撮影の6ヶ月前の映像として日本でのライブアンダーザスカイの模様が出てきます。1984年ギル・エヴァンス・オーケストラで来日した時ですね。雨の中終演した野外ステージ、帰らないお客さんの前で「Amerika」を独奏し、大歓声の中ベースを空高く放り投げるシーンには絶句です。

場面変わって1958年のフロリダ。恐らく初公開と思われるホームビデオで撮影されたジャコの幼少時代が写し出され、お父さんのジャック・パストリアスや弟のグレゴリー・パストリアスの証言が流れます。1966年、15歳のジャコが参加していたバンドや当時の車、ファッション、ストリートの様子なども出てきますがこちらも映像として貴重ですね。その後に在籍していたバンド、ウェイン・コクラン&CCライダースの様子などもメンバーによって回想されていきます。

作品中盤はウェザー・リポートでの成功について、そしてジョニ・ミッチェルとのコラボレーションについて収められていますが、なかでも印象的だったのは「私は曲のアーキテクチャーをセットアップして本能的または比喩的に弾いてもらったの。キャンバスに別の画家を招いて絵を描くように。それはまるで会話のようだったわ。」というジョニ・ミッチェルの証言ですね。ジャコが参加した作品を聴けばそれがよくわかるのですが、歌ものの中にある表現の仕方もぜひチェックしておきたいところです。

いかに多くのミュージシャンに影響を与えた存在だったのか

その他随所でインタヴューに登場するのはスティング、フリー、ウェイン・ショーター、アルフォンソ・ジョンソン、ハービー・ハンコック、サンタナ、ブーツィー・コリンズ、アル・ディメオラ、ゲディー・リー、レニー・ホワイト、ピーター・アースキン、マイク・スターン他、ジャコの娘メアリーや息子のジョンも登場します。

作品後半はちょっと見ていて悲しくなりますが、80年代に入りジャコに問題が多くなっていった経緯が収められています。その一方でいかに多くのミュージシャンに影響を与えた存在だったか、ネイザン・ワッツ、ボブ・モーゼス、ジェリー・ゴンザレス、ビクター・ベイリー、スティーヴ・ベイリー、ヴィクター・ウッテン等の多くの証言が収められています。

インタヴューの登場人物の多さもさることながら、ジャコ自身や奥さんと子供達とのプライベートフィルムが多数残っていることにも驚きました。またパッケージには特典ディスクが付いているのですが、1時間40分に及ぶインタヴューのアウトテイクが収められ、本編には出てこない多数のベーシスト、マーク・イーガン、ミシェル・ンデゲオチェロ、リチャード・ボナ、アンソニー・ジャクソン他も登場し、様々なエピソードが語られているのも必見です。

なおDVDはリージョンが日本向けでないため、リージョンフリーのBlu-rayをお勧めします。

 告知
板谷直樹のリーダープロジェクト「ニッポングルーヴマジック協会」。ベースはもとよりトラック制作をプロデュースし、先端のビートで民謡を現代に蘇らせる。第一弾音源は民謡歌手の涌井晴美さんをフィーチャーした青森県民謡の「南部俵積み唄」がヴィレンジヴァンガードのコンピCD「BDM」に収録となりました。
「BDM」他収録アーティストには水曜日のカンパネラ、DE DE MOUSEなど豪華な顔ぶれ。全国のヴィレンジヴァンガード18店舗にて好評発売中です

電書版が全5冊発売中です。単行本よりお求め安い価格となっているので、この機会にぜひゲットしてみてください!

iPad、iPhone、iPod touch、Mac版を購入する

Kindle版を購入する

板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



Amazon.co.jpから購入定期購読(特典つき)

バックナンバー

TUNECORE JAPAN

@bassmagazinejp からのツイート