第30回:ベーシストにお薦めの映画紹介vol.25 『永遠のモータウン』の巻

ベース大好き! by 板谷直樹 2015年10月1日

早くも25回を迎えるベーシスト板谷直樹さんの映画紹介コラム。今回はついに、モータウン映画が登場です。そう、人差し指1本ですよ!

コアなファンでもない限り、アーティストのバックで誰が演奏しているかなど気にならないものですが、我々ミュージシャンは常にそれが気になってしまう人種。レコードやCDのライナーノーツにその情報を探してしまうし、音楽番組などでは後ろで誰が演奏しているのかよく観察してしまいます。

というわけで今回は、モータウン・サウンドを生み出したバックミュージシャン達(ファンク・ブラザーズ)にスポットを当てたドキュメンタリー映画『永遠のモータウン』を紹介しましょう。

ジェマーソンの逸話が面白い!

この映画が作られるきっかけとなったのは、ジェームス・ジェマーソンの伝記本『伝説のモータウンベース ジェームス・ジェマーソン』(原題:Standing In The Shadows Of Motown)ということで、ジェマーソンに関する逸話も織り交ぜながら、当時の音楽事情やモータウン・レコードがどのように発展していったのか、その時代を支えたスタジオ・ミュージシャン達のライブ映像や貴重なインタビューが盛りだくさんの内容になっています。

モータウン・レコードは1959年、ベリー・ゴーディ, Jrによってデトロイトに設立されたレーベルで、スティーヴィー・ワンダーやスモーキー・ロビンソン、マーヴィン・ゲイらを見出し、60~70年代に数々のヒット曲を輩出しました。「演奏する側にはただのスタジオ・A」「ヘビの穴」と呼ばれる地下室で、3時間で4曲、少なくとも2曲以上は仕上げていた、それはいつも同じメンバーだから可能だった、とパーカッション、ヴィブラフォン奏者のジャック・アシュフォードが回想しています。また録音方法は1発録りで、レコーダーは3トラックしかなかった、というのも興味深いですね。

本作ではジェームス・ジェマーソンの話がたびたび出てきますが、マービン・ゲイの「What’s Going On」を人差し指1本で演奏する貴重な映像を見ることができます。また彼の人物像を表すエピソードで、ツアー帰りの夜中の2時頃、狭い車中で「パジャマでないと寝れない」と突然着替え始めたり、匂いの強い豚足を食べてメンバーに嫌がられ、終いに葉巻を吸い始めた時点で車から降ろされ氷点下の外に置き去りにされた、という話が面白かったですね。

演奏シーンも豊富、特典映像もお見逃しなく!

ライブ演奏シーンも豊富で(12曲)楽しめますよ。ベテランのファンク・ブラザーズとジョーン・オズボーンやチャカ・カーン、ミシェル・ンデゲオチェロ、ブーツィー・コリンズ、ベン・ハーパーといったアーティストとの共演が見れますが、ここでベースを担当しているのがボブ・バビット(モータウンでの活動は1967~72年)。プレシジョン・ベースのブリッジ付近にスポンジをかまし、丸い音色のミュート・サウンドを出しているのが分かります。

Motown

 

 

 

 

 

 

譜例のパターン1はブーツィー・コリンズが歌で参加している「Do You Love Me」風のライン。パターン2は同じくブーツィーが歌う「Cool Jerk」風ライン。モータウンのベースは歌ものに適したシンプルでパターン化されたものが多いので、その辺りもチェックしておくといいでしょう。そう考えるとジェームス・ジェマーソンのラインは全く対照的でかなり独創的と言えるかもしれませんね。

なお、DVDには特典映像があり、ジャムセッションや同窓会的雰囲気の場面も楽しいので、そちらもぜひチェックしてみてください。

 告知
板谷直樹のリーダープロジェクト「ニッポングルーヴマジック協会」。ベースはもとよりトラック制作をプロデュースし、先端のビートで民謡を現代に蘇らせる。第一弾音源は民謡歌手の涌井晴美さんをフィーチャーした青森県民謡の「南部俵積み唄」がヴィレンジヴァンガードのコンピCD「BDM」に収録となりました。
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板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



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