第22回:ベーシストにお薦めの映画紹介vol.17 『トータル・リコール』の巻

ベース大好き! by 板谷直樹 2015年1月13日

2015年最初のオススメ映画は、シュワちゃん主演のSF作! 板谷直樹さんがミュージシャンならではの視点で、見どころを解説してくれています。音楽担当は、あの大家なんですね!

その昔『第三の選択』(Science Report Alternative 3)という77年にイギリスで製作された、いわゆるフェイク・ドキュメンタリーがありました。あらすじ的には有能な科学者が失踪し実は火星に送られている、フィルムには火星の上空から着陸の様子、地面の中を這う生物(のようなもの)が映し出される!、、というトンデモ的なものでした。

これが当時のUFO番組でやっていて、その後レンタルビデオ店でも借りて見た記憶があります。エンドロールの音楽はブライアン・イーノだったので、それにもびっくりしましたが(アルバム『Music for Films』に収録)。

その後80年代に入り、書籍で『第3の選択 米ソ宇宙開発の陰謀』なんてのがあることを知り読みふけりましたねぇ。これは映像版『第三の選択』をさらに詳しくした内容で、人口増加から環境問題、火星移住計画についてのノンフィクション的なフィクション? でした。そして2011年に打ち上げられた火星探査機キュリオシティにおいては、送られてくる画像やデータの怪情報で昨今また盛り上がりを見せている火星。どうもやっぱり火星は怪しい!(笑)。というわけで、今回は火星が舞台の映画を取り上げてみましたよ。

フィリップ・K・ディックの短編を映画化

というわけで改めまして、UFO関係も大好きなベーシスト板谷直樹です。今年もよろしくお願いします。

前置きが長くなりましたが、今回は数あるSF作品の中でも陰謀論や都市伝説好きは要注目の『トータル・リコール』(1990年アメリカ作品)を紹介していきましょう。

主演はアーノルド・シュワルツェネッガー。『ターミネーター』でブレイクし、『コマンドー』『プレデター』など立て続けにヒットした後の作品でノリにノっている頃。一説によれば出演料は1千万ドルを超えていたというから驚き。そして『氷の微笑』でブレイクする前のシャロン・ストーンも、妻を装った工作員役で出ています。お色気もありますが、銃をぶっ放したり回し蹴りが炸裂したり、『氷の微笑』以後のイメージとは程遠い体を張ったアクションも見所です。

そしてシュワルツェネッガーの敵役はマイケル・アイアンサイド。『スキャナーズ』や『トップガン』の出演が有名ですが、この人の悪役ぶりは狂気に満ちていて
恐いですね。

物語は火星の植民地を舞台にした諜報モノで、フィリップ・K・ディックの短編『追憶売ります』が原作となっています。人工的に記憶を埋め込んで秘密諜報員として火星へと旅することを希望する主人公。しかし記憶の移植に失敗。現実と虚構の世界が入り混じって自身のアイデンティティが分からなくなる中、謎のグループによって命を狙われていくというストーリーです。

 チェイスシーンでの音楽の緊迫感!

主人公が鼻の奥からピンポン球相当の発信機を取り出す時や、火星の入国審査で大柄な女性の顔がパカッと割れて中から登場する場面など、CGとは一味違う当時のSFX技術も見所ですね。

また、機械のタクシー運転手が人間に口答えするような場面が2回出てきますが、このような要素は同じくフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作にした映画『ブレード・ランナー』にも通ずる部分かもしれません。

監督はオランダ出身のポール・バーホーベン。『ロボコップ』『氷の微笑』『スターシップ・トゥルーパーズ』などが有名です。意外な話ですが『ロボコップ』の主演としてマイケル・アイアンサイドを起用するはずが、予定が合わなく実現しなかったため、本作へ出演してもらったところこれが当たり役だった、と言っています。また、本作の後に撮られた『氷の微笑』(1992年)は、シャロン・ストーンを一躍世界的に有名にした作品になりましたね。

音楽は僕も大ファンのジェリー・ゴールドスミス。ハリウッドにこの人あり! というほどの大作曲家ですが、残念ながら2004年に他界しています。手がけた作品は170以上、誰もが知っている『猿の惑星』『トラ・トラ・トラ!』『オーメン』『エイリアン』『ランボー』『スタートレック』などなど、列挙すれば切りがありません。

この人の作品の特徴は、アクションシーンにおいての緊迫感でしょう。特に本作は冒頭からクライマックスまで、追っ手を煙に巻くスリルあるチェイスシーンが多く、そこで流れる音楽は抜群の緊張感を演出していますね。

なお、2012年にレン・ワイズマン監督、コリン・ファレル主演の『トータル・リコール』リメイク版がありますが、こちらは設定や世界観がかなり違うものの、セリフや登場キャラクターのいくつかに1990年版のオマージュ部分があるので見比べてみると面白いですよ。

『一生使えるベース基礎トレ本』シリーズが一挙に3冊、電書版として発売になりました。単行本よりお求め安い価格となっているので、この機会にぜひゲットしてみてください!

板谷直樹(いたや なおき)

板谷直樹

札幌市出身 バークリー音楽大学卒。R&B、AOR、ポップに親しみ15歳よりベースをはじめ、当時からセッション系ミュージシャンに憧れて様々なジャンルを吸収しようと試みた。札幌での活動を経て渡米し、本場のジャズやラテンミュージックに触れ多大な影響を受けている。「最先端のグルーヴとメロディックなソロ」を追求し、アーティストのライブやレコーディングも多数。著書『ベース・ラインで迷わない本』『一生使えるベース基礎トレ本』『一生使えるベース基礎トレ本 スラップ強化編』『一生使えるアドリブ基礎トレ本 ベース編』『ベーシスト 究極の選択60』(すべて小社刊)



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